酸洗いに必要な道具
そもそも酸洗いとは何か
酸洗いとは、金属加工時に酸で化学洗浄処理を施すことです。
金属の溶接や熱処理、蝋付けなどにより発生した焼け、錆、スケール、酸化皮膜などを硫酸や塩酸で除去します。スケールを除去することで素材を見栄えのよい状態にし、また研磨作業の手間を省くためにも必要です。酸処理が不十分だとメッキの密着不良が生じるため、メッキの前処理では酸洗いが必須です。
光沢を出すためにも必要で、チタンなどを研磨する場合、酸洗いして表面の酸化皮膜層を除いてから研磨をしなければなりません。
そして、もう一つ重要な目的が、皮膜の再形成を行い錆に強い状態にするということです。ステンレスがなぜ錆に強いかご存知でしょうか。それは、表面に不動態皮膜や酸化被膜などと言われる不可視の極薄膜が存在しており、酸化から保護してくれているためです。この膜を形成し、ステンレス製品を錆びにくい状態にすることも酸洗いの目的なのです。

酸洗いの種類と用意すべきもの
酸洗いは3つの種類に分けられます。1つ目はピックリング、2つ目が酸浸漬、そして最後がエッチングです。ピックリングはスケールやサビを除去するため、酸浸漬は酸化皮膜を除去し金属表面を活性化するため、エッチングは冷間圧延等の加工で生じた変質層を取り除くために行われます。
工程は、金属の種類によって異なってきます。また、用意する酸の種類、温度や濃度の設定なども金属ごとに違います。抑制剤や、界面活性剤も必要です。大掛かりな設備も用意しなければならず、廃水処理なども適切に行わなければ環境を著しく汚染してしまうことになります。
酸洗いは素人には難しく危険な作業です。必ず専門の業者に任せてください。また、工場などに酸洗いの設備を新たに置く場合も、有毒ガスの漏れなどで環境や近隣住民に迷惑を掛けないよう、信頼のおける業者に依頼するようにしましょう。